2000年2月23日
内閣総理大臣
小渕恵三 殿

阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議       
代表委員 合志至誠(兵庫県保険医協会名誉理事長)
菊本義治(県立神戸商科大学教授)     
前田 修(神戸合同法律事務所所長)   


「阪神・淡路復興対策本部」解散に強く抗議し、
被災者の生活再建支援策の抜本的拡充を求めます。

 政府は「阪神・淡路大震災復興基本方針および組織に関する法律」(以下、復興基本法と称す)の失効(2000年2月23日)と、それに基づいて政府が設置した「阪神・淡路復興本部」を解散することが表明されました。
 私たちはこうした事態を憂慮し、昨年12月に法律の期限延長の申し入れを行いました。復興基本法の失効、復興本部解散は被災者の生活再建に対する国の責任を放棄し、苦難の続く中で必死に生活再建に努力する被災者に「冷水」をぶっかけ、希望を打ち砕くものであり、私たちは断じて容認できません。
 この復興対策本部解散は、被災直後からの歴代政府の復旧・復興に全力を尽くすとの立場からの逸脱であるばかりか、自らが定めた復興基本法の理念にも反するものであり、結果的には今後の復興を遅らせるものにならざるを得ず、私たちは満身の怒りを込めて強く抗議するものです。

 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)発生から5年、都市インフラ・産業インフラ、箱物、大企業の復興へ集中的に公費が投入され、これらは予想を超える早さで復旧・復興が進みました。メインストリートなどの外観的なものや、大企業は大震災以前を上回る活力を取り戻し、そこには「大震災の影」は見えません。
 しかし、被災者の生活再建は遅々として進まず、日時の経過は「復旧・復興施策の誤り」ミスマッチに加えて、長期の不況が重なって一段と厳しい状況に追い込まれています。
 私たち復興県民会議の呼びかけで進めた「検証運動」は、大震災から丸5年のあらゆる分野の被災者の現状を明らかにしました。
 仮設住宅の入居者は99年末でゼロになったものの、入居した復興公営住宅は住み慣れたまちからは遠く離れ、ケアー体制は極めて不十分な上に、度重なるコミニュティ破壊によって、高齢者などは一層孤立感を深め、「孤独死」の続出、家賃助成5年の期間限定など先行き不安におののいています。
 県外へ避難された方々は、住み慣れた場所に帰りたいとの希望も叶えられないばかりか、今もって県外避難者の実数すら把握されておらず「捨て去られた状態」が続いています。
 頑張って住宅・店舗の再建はしたものの、大震災で消滅した家屋、資産の返済に加えて新たなローンの2重債務は、被災者の肩に重くのしかかっています。
 大震災後遺症によるリストラ・合理化・解雇、住民の帰らないまちでの営業不振など収入は激減し、日毎に被災者を「ローン地獄」へと追い込んでいます。
 市場、商店街の問題も深刻で、震災、不況に、住民が帰れない街づくりの誤作動、さらには被災直後、住民の声を無視した区画整理、再開発などの都市計画決定がまちづくりを困難にし、遅らせ、5年経過した今も苦しみが続いています。
 雇用問題も全国平均はもとより、被災直後をも上回る失業率で、若年層から高齢者まで極めて深刻な事態が進み、子どもの進学などの教育問題、ローン返済など、深刻な影響が出てきています。
 さらに、災害援護資金や大震災発生直後に設けられた「各種特別融資」の返済猶予期限切れを迎え、「返したくても返せない」一層深刻な事態になっています。 阪神・淡路大震災5周年の被災地は、被災者の生活再建がままならず「大震災いまだ終わらず」が衆目の一致するところです。

 大震災発生から丸5年、今、政府に求められているのは、こうした被災者の現状に率直に目を向けて、この5年間の「ハード面中心の復旧・復興」から、後回しされてきた被災者の生活再建「人間復興」へ政策転換を行い、すべての被災者が生活再建できる施策を、政府として「やりきる」ことです。

 私たちは、復興基本法の失効、復興本部解散の暴挙に重ねて抗議するとともに、70兆円にも及ぶ「銀行支援より被災者を救え」の国民世論、国民の負託に応えて、被災者生活再建支援法の抜本的な拡充、そして国の責任による住宅・店舗の再建へ公的支援の実現、各種融資制度、家賃助成の長期延長措置、住民が住み慣れた元の街に帰れる街づくりなど、被災者の生活再建支援策の抜本的な拡充を強く求めます。

以上