2000年2月25日
阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議
代表委員 合志至誠(兵庫県保険医協会名誉理事長)
菊本義治(県立神戸商科大学教授)
前田 修(神戸合同法律事務所所長)
神戸市は2月21日震災復興本部総括局と生活再建本部解散を発表しました。被災者は一様に驚き、その行政姿勢に失望し、大きな怒りを持っています。
大震災発生から丸5年、被災者が生活再建に向けて必死の努力を行っている中で、最大の被災地である神戸市のこの「暴挙」は断じて容認できるものではなく、直ちに撤回を求めます。
2月10日付「毎日新聞」で金芳本部長は、生活再建本部解散に関連して「ハード面の整備は進んだが、被災者の暮らしはまだまだ厳しく、生活再建はこれから」とコメントされていますが、この状態で生活再建本部解散はどう結びつくのか、そこには一片の合理性も整合性もありません。
また、広報こうべ特別号では「被災者の生活再建支援は、市の最優先課題として取り組んできました」と述べていますが、大震災発生から5年間の復旧・復興施策が、都市インフラ、産業インフラ、箱物、大企業の復興へ偏重し、被災者の生活再建が後回しにされたことは、政府、関係機関、マスコミなど含めて衆目の一致するところです。
「阪神・淡路復興委員会」の後藤田正晴特別顧問は「庶民の暮らしの再建、復興に配慮が足りなかったことに今でもうらみをもっている」と述懐し、また、一番ケ瀬康子委員は「産業優先から人間優先のまちづくり転換するチャンスだった、計画の立て方、哲学そのものがナンセンス」(5年目の復興委員会・12/6毎日新聞)と批判的に述べておられます。
そして「阪神・淡路復興委員会」では、笹山市長は「神戸空港」建設を始め、「開発復興」に関する積極的発言はされていますが、「被災者生活再建最優先」の立場の発言は「議事録」からは窺えません。
「生活再建支援は市の最優先課題として取り組んできました」とする立場は、笹山市長の発言と行動から見ても、また、この間の復旧・復興各種施策、5年経過した被災者の現状から見ても、まったく事実に反し、被災者、市民、そして被災者支援を進めてきたものを愚弄するものです。極論すれば「5年の歴史の書き換え」「歴史の偽造」に類するものです。
私たち復興県民会議が呼びかけて進めた「検証運動」結果からも、各分野の生活再建が進んでいないばかりか、一層深刻さを増してところも数少なくありません。マスコミの各種調査で市場、商店街、復興住宅、雇用2重ローン、中小企業、区画整理、再開発問題などを取り上げ、多くが「生活再建の遅れと困難さ」を報道し、生活再建「道半ば」などと指摘しています。
こうした被災者の現状と、神戸市の「事実に反する認識」の元での判断である「生活再建本部解散」は、到底納得できるものではありません。
この5年間後回しにされてきた生活再建問題、そして多様化している被災者の要求に応えていくために、生活再建本部の機能強化こそ、今、求められています。
被災者の生活、住宅・店舗の再建などへ、一層の国家的な支援が必要な時に、2月23日、政府は「復興本部」解散という暴挙を行いました。それに追随して、阪神・淡路大震災の最大の被災地神戸市が、生活再建本部解散を表明するなど、およそ常識的には考えられない「愚挙」「暴挙」であり、被災自治体として「被災者への責任の放棄」と言わなければなりません。
私たちは、以上の観点から「生活再建本部解散」の撤回を求め、以下の3点について緊急に申し入れを致します。
以上