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災害復興ガイド

編著者:塩崎賢明・西川榮一・出口俊一
  兵庫県震災復興研究センター『災害復興ガイド』編集委員会
出版社:クリエイツかもがわ
定価:2,100円(本体価格2,000円)
判型:A5判、180ページ
ISBN-13: 978-4902244731
2007年1月刊
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阪神・淡路大震災から一貫して災害復興のあり方を研究・提言し続けてきた編者らと、日本と世界の災害復興の現場を歩いてきたボランティア・専門家らが贈る、日本初の災害復興手引き。行政・学校・企業の防災担当者必携の書。

紹介して頂きました

災害復興ガイド 『復興に備えることが減災につながる』」(2007.2.4神戸新聞)
ひょうご選書 『災害復興ガイド』 課題と教訓示す手引き 国内外の具体例報告」(2007.2.11神戸新聞)
研究者らが『災害復興ガイド』 災害列島から制度提言」(2007.1.13中日新聞)
『中越』『阪神』の経験生かせ 復興ガイド出版」(2007.1.19新潟日報)
来年1月「災害復興白書」を発行 震災復興研究センター」(2006.6.14神戸新聞)
災害復興ガイド 日本と世界の経験に学ぶ」(2007.4月号 住民と自治)
『災害復興ガイド 日本と世界の経験に学ぶ』に寄せて」(2007.4.16しんぶん赤旗)

目次

はしがき

I 日本と世界の自然災害の復興動向(1991〜2006年)

■序論

 増大する自然災害とその特徴

■日本の災害
  •  1 雲仙・普賢岳噴火災害(長崎県)
  •  2 奥尻島津波災害(北海道)
  •  3 阪神・淡路大震災(兵庫県)
  •  4 有珠山噴火災害(北海道)
  •  5 三宅島噴火災害(東京都)
  •  6 鳥取県西部地震(鳥取県)
  •  7 新潟県中越大震災(新潟県)
  •  8 台風23号災害(兵庫県)
  •  9 福岡県西方沖地震(福岡県)
■世界の災害
  •  1 トルコ北西部地震
  •  2 台湾・集集地震
  •  3 インド・グジャラート地震
  •  4 イラン南東部地震
  •  5 インド洋津波・スマトラ
  •  6 インド洋津波・スリランカ
  •  7 アメリカ・ハリケーン(カトリーナ)
  •  8 パキスタン北部地震
  •  9 フィリピン・レイテ地滑り
  •  10 インドネシア・ジャワ島中部地震

II 災害復興12の論点―復興論―

  • 1 「復興」とは何か
  • 2 「災害復興基本法」への道
  • 3 被災者支援の法制度
  • 4 住宅復興をどう考えるか
  • 5 復興指標としての「コミュニティ」
  • 6 復興におけるボランティアの役割
  • 7 復興と要援護者への支援
  • 8 復興と医療
  • 9 復興と中小商工業・地域経済の再建
  • 10 災害廃棄物と環境保全型まちづくり
  • 11 地域防災計画と「災害復興基本法」
  • 12 義援金をどう考えるか

資料/日本と世界の自然災害の被害状況一覧

●コラム

 コンクリートドームの復興住宅

 津波廃棄物管理プロジェクト

 「災害救助法」と教育

 あとがき

はしがき

 2006年5月にジャワ島中部で震災が起こり、また西部では津波被害もあった。インドネシアは2004年12月の巨大地震・インド洋津波の被害から立ち直る間もなく、あいついで災害に見舞われた。アメリカではハリケーン・カトリーナによる未曾有の被害が発生し、その復興に困難をきわめている。国内では、中越地震や福岡県西方沖地震の復興途上にある。

 私たちは、阪神・淡路大震災に遭遇し、この12年間被災者とともに復旧・復興過程に密着して事態を見てきた。10年を越したころから、震災の話はもう終わりだといった声も聞かれるようになった。しかし、実は、国内でも国外でも災害は規模も回数も増している。さらには、海溝型地震の襲来は時を追って確実性が高まっている。震災の話は一段落どころか、まさに、このような目の前にある災害に対してどう立ち向かうのか、また確実に迫っている災害に対してどう備えるのかが、鋭く問われている。

  「減災」という。災害の被害を根絶することはできないが、低減させることはできる、そのための取り組みである。政府の減災戦略では、東海地震や東南海・南海地震の予想される被害を半分に減らすことが、今後10年間の目標となっている。その手段は、主に住宅の耐震化と津波避難である。これらはいずれも重要な課題である。しかし、減災戦略には被災後の復興についての計画はない。ともかく生命・身体が難を逃れればひとまずは安心ということであろうが、実は、生き延びた人にとって災害が去ってから長期にわたって死に物狂いの苦労が控えているのである。「死に物狂い」はたとえ話ではなく、現実に直接死を逃れてから、復旧・復興過程で大量の死者が発生する。阪神・淡路大震災の直接死は5,502人であるが、公式の死者は6,434人であり、事後の間接死が932人もいる。さらに、これ以外に人知れず孤独死を遂げた人は629人に及ぶ(2006年1月現在)。つまり、直接の難を逃れた後にも、1,561人もの人が不幸な死を遂げているのである。

 死に至らなくても、災害後、避難や仮設居住、住宅再建や営業の再開などで塗炭の苦しみを味わう被災者は少なくない。これらは一言でいえば、復興の苦しみである。災害の被害を減ずるための方策をあらかじめ講じておくことを減災とするならば、この復興の苦しみを避ける方策の準備もまたその中に含めるべきである。災害の直接被害で死をまぬかれたとしても、その後の「復興災害」で死に至ったり、人生の希望を失ったりするのでは、真の減災とは言えない。

 阪神・淡路大震災はさまざまな教訓をもたらしたとはいえ、復興に関しては教訓が現実に生かされているとは言い難い。「被災者生活再建支援法」は震災後の数少ない成果であるが、なおきわめて不十分な水準にあり、現状の制度環境のまま大災害が到来すれば、「復興災害」は繰り返されるであろう。海溝型巨大地震や首都直下型地震が危惧されるいま、この問題を避けるための取り組みはまさに緊急を要しているのである。

 毎年1月17日には阪神・淡路大震災を振り返るマスコミの企画が多い。命の尊さを強調した鎮魂の番組や、災害の難を逃れるハウツーもの、災害救助の感動的な物語などはよく取り上げられるが、災害が一段落した後の復興過程の問題は注目されることが少ない。災害で生き残った場合、被災者が直面するのはまさにその問題であるにもかかわらず、復興についてのまとまった情報が少ない。被災者の支援金は地域によって差があり、復興で区画整理事業をすれば、借家人は従前地域から追い出されるといったこともあまり知られていない。真新しい復興住宅に入居しても、その中でさびしく暮らしている被災者の姿は外から見えにくい。真に災害に備えるためには、被災者となりうる庶民が、難を逃れるすべを身につけると同時に、被災後に訪れる事態についても目を向け、よりよい復興のための社会的な仕組みが作られる取り組みが欠かせない。

 本書は、国内外のさまざまな災害復興の実態を集約したものである。災害には多様な種類があり、復興もまたさまざまである。来るべき災害の発生・緊急対応に備えをするだけでなく、その後の復興に備えるべく、本書を活用されることを願うものである。

2006年12月17日
塩崎賢明


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